サウナ建築

自然と共存するサウナの未来―Termas Geométricas Hot Springs Complex


今回紹介する建築は、サウナではなく温浴施設です。温泉施設ですが、施設の考え方がサウナにも通ずる部分があると思ったので紹介したいと思います。

この施設はチリのビシャリカ国立公園から約15㎞の位置にあります。設計者はチリの建築家Germán del Solです。

自然と共存する温泉施設


この施設は450mの峡谷に沿って配置された17の温泉プールによって構成されています。その温泉プールには赤色で塗られた木の歩道でアプローチします。この歩道の下には温泉を運ぶ水路が配置されており、各温泉プールに導くとともに、雨や雪でぬれても温泉の熱気が歩道を乾かし安全に歩行できるようになっています。

ところどころに配置されている東屋は休憩スペースになっており、入浴後にBBQや会話を楽しむことができます。屋根は緑化され周辺の原生林に配慮されています。

建物名称にGeometoricという単語が入っているように、この施設は自然に対して幾何学を対峙させることで、自然をより強調する施設となっています。

峡谷サウナの可能性

東屋をサウナ小屋に、温泉プールを水風呂に置き換えたと想像すると、どうでしょうか。全く問題なさそうですよね。

日本でも開かれた川沿いでテントサウナを行うことはありますが、峡谷だと適度に囲われた感じが出るので、落ち着いた感じがありいいなと思いました。

線状に展開する群としてのサウナ


面白いのは峡谷という性質上、サウナが線状に配置されることです。線状だからこそできるサウナ施設の作り方があるかもしれないと思います。

例えば、サウナ室や水風呂の温度が徐々に高くなっていくようなグラデーション配置や、アロマ水の香りが変わっていったり、サウナ室の大きさが様々で、大人数のグループや家族サイズから、カップル、ソロまで様々な需要に対応できたりと、サウナ室の変化も楽しむことができるのではないかと思います。

湖の周りで開催されるサウナフェスは、面的な広がりがあり賑わいがみえてそれもいいですが、川沿いで行う線状のサウナフェスも面白そうだなと思います。今後のサウナイベントに期待です。

参考文献
・Allan Konya, The Modern Sauna and Related Facilities, Archimedia Press Limited, 2017

図版出典
・ https://www.archdaily.com/579931/termas-geometricas-hot-springs-complex-german-del-sol

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